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このブログ記事は、2018年7月16日に改題・更新しました。
今回は、経営指標と会計の役割について考えてみたいと思います。
「売上高」から「利益」を基準とした経営指標へ!
今では、中小企業でも「利益」を基準とした経営指標を利用するところが多くなってきましたが、一昔前は、「売上高」を経営指標として使っている企業がほとんどでした。
尚、「売上高」を経営指標として使うということは、たとえ「収益性」を度外視してでも、まずは「成長性」を重視することを意味します。
実際、1980年代ぐらいまでは、日本経済全体で見た場合でも成長期にあったと考えられますから、個々の企業における成長機会は十分にあったと推測され、「市場シェアをどれだけ伸ばせるのか?」を企業経営で重視するというのはそれなりに理に適っていたといえるでしょう。
しかし、1990年代に入り、日本経済全体が成熟期に突入してしまうと、「売上高」を経営指標にすることは、多くの企業にとって難しくなってきます。
なぜなら、成長余力が十分にある頃であれば、売上高の増加を優先させることで一時的に利益を減らすことになったとしても、その後で減った分を穴埋めできるだけの十分な利益を獲得できていたのですが、成長が止まってしまってはそれも望めなくなったからです。
そのため、多くの企業は「利益」を基準とした経営指標を利用するように変わっていき、「成長性」だけでなく「収益性」も考慮するようになりました。
経営指標が変化したことで会計の役割はどうなる?
実は、成長性のみを重視し、「売上高」を経営指標として使っていた時は、会計の役割はそれほど重要ではありませんでした。
なぜなら、売上高を伸ばすだけならば、とにかく営業部さえしっかりしていれば何とかなるため、会計情報を使った細かなコントロールがあまり必要とされていなかったからです。
けれども、「利益」を基準とした経営指標を重視するようになるとそのようなわけにはいかなくなります。
というのも、「利益」を重視するということは、「売上高」を重視する場合と違って、「収益」や「費用」を同時に見なければならなくため、これらの発生金額をただ把握しているだけでは十分ではなく、それらが発生するタイミングや発生原因なども適時に把握しなければならなくなったからです。
例えば、収益を増やす場合には、それ以上に費用が増えないようにしなければならないですし、費用を減らす場合にしても、それ以上に収益が減らないようにしなければならないですから、両者の関係や発生原因をきちんと把握しながら、最も利益が大きくなる両者のバランスを探っていく必要があります。
そうなると、もはや会計が提供する情報を抜きにして企業経営を行うことは不可能ですから、会計の役割は否が応でも増すことになります。
このように、経営指標が変化することで、会計の役割も大きく変わることになったのです。
次回は、短期的判断と中長期的判断について解説したいと思います。
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