この度は、白石茂義公認会計士事務所のホームページをご覧いただき、誠にありがとうございます。
このブログ記事は、2020年9月4日に改題・更新しました。
今回は、「差別化と価格の関係」について考えてみたいと思います。
販売価格が上昇したような場合には……
前回の販売価格を下げても、利益は増加するのか?(中小企業だからこそできる価格戦略!その4)では、販売価格が低下した場合、生活必需品に該当するようなものであれば、販売数量はあまり増加しませんが、ぜいたく品に該当するようなものであれば、販売数量は大幅に増加すると説明しました。
それでは、逆に、販売価格が上昇したような場合(値下げと違い、値上げは頻繁に行われるものではありませんが……)はどうなるでしょうか?
販売価格が上昇した場合、生活必需品に該当するようなものであれば、販売数量はあまり減少しませんが、ぜいたく品に該当するようなものであれば、販売数量は大幅に減少することになります。
そのため、あなたが扱っている商品やサービスが生活必需品に該当するような場合であれば、やむを得ず値上げをしなければならなくなったとしても、販売数量はあまり減少しないので、値上げした額によっては、売上や利益が増加するようなことも考えられます。
一方、あなたが扱っている商品やサービスがぜいたく品に該当するような場合であれば、安易に値上げをしてしまうと、販売数量が大幅に減少してしまうので、僅かな値上げであったとしても、売上や利益が大幅に減少してしまう危険性が高いと考えるべきでしょう。
尚、このような販売価格の変化に対する販売数量の変化の割合のことを「価格弾力性」と呼んでいます。
差別化の程度と価格弾力性の関係
実は、上述したような生活必需品やぜいたく品といった性質以外にも、代替品が多くあるような商品やサービスの価格弾力性は高く、逆に、代替品がほとんど無いような商品やサービスの価格弾力性は低いことが分かっています。
つまり、ほとんど差別化できていないような商品やサービスの価格弾力性は高く、逆に、かなり差別化できているような商品やサービスの価格弾力性は低くなると解釈できるということなのです。
そうだとすると、あなたが扱っている商品やサービスがほとんど差別化できていないのであれば、原材料や人件費が高騰しているといったやむを得ない事情が生じたとしても、簡単には値上げをすることができないため、かなり厳しい状態に追い込まれることが容易に想像できます。
それに、浸透価格によって、市場占有率を高めたいのは分かりますが……(中小企業だからこそできる価格戦略!その3)で説明したように、財務的基盤が弱い中小企業が浸透価格(=自社の商品やサービスの市場占有率を高めるため、低めに設定された販売価格のこと)を選択することは難しいという現実もあります。
以上のことから、財務的基盤が弱い中小企業の場合、不測の事態に備えて、少しでも販売価格をコントロールできるようにするために、何かしら差別化をしなければならないということになるでしょう……
次回は、「消費者が相当と考える価値」について解説したいと思います。
白石茂義公認会計士事務所では、士業コンシェルジュというコンセプトのもと、特に、愛媛県松山市、今治市、新居浜市、西条市の経営者の皆様からのお問い合わせをお待ちしております。
必要の際には、ぜひ、お気軽にお問い合わせください。