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このブログ記事は、2017年5月13日に更新しました。
今回は、消費税の課税取引について解説したいと思います。
ビットコインを購入すると消費税が課税される?
2016年9月1日の日本経済新聞に「ん?」と思わせる記事が載っていました。
税制改正要望に関する記事の横に載っていた『ビットコイン購入 消費課税に「注文」』と題された記事のことです。
もちろんご存じだとは思いますが、ビットコインというのは仮想通貨*の一つです。
*仮想通貨は暗号資産に名称変更されましたが、このブログ記事では仮想通貨の名称を使用しています。
実は、2016年5月25日に資金決済に関する法律の改正が成立し、そこで仮想通貨が定義されました。
つまり、支払手段として仮想通貨の存在が公式に認められたということです。
当然、これによって、消費税法上も非課税の扱いを受けるものだと勝手に思い込んでいたのですが、必ずしもそうでないことを上述の記事を見て知り、驚いたということなのです。
(確かに、消費税法上、仮想通貨を非課税扱いするよう改正されたという記憶はなかったのですが……)
ただ、記事をよく読むと、「プリペイドカードなどと同じではないか?」と書かれているので、どうやら、支払手段ということよりも、物品切手等に当たるのではないか?という解釈のようです。
課税取引?それとも非課税取引?
消費税の基本についておさらいをすると、消費税というのは、
- 国内において行うものであること
- 事業者が事業として行うものであること
- 対価を得て行うものであること
- 資産の譲渡、資産の貸付け、役務の提供であること
という4つの要件を満たす取引であれば、課税の対象になります。
しかし、課税の対象になるもの全てが課税されるわけではなく、税の性格から課税することになじまないものや、社会政策的な配慮に基づくものなどについては、非課税取引として列挙されており、これらについては非課税となります。
支払手段であるにせよ、物品切手等であるにせよ、これらについては、税の性格から課税することになじまないものの例として挙げられていますので、ビットコインがこれらに該当するのであれば非課税となり、該当しないのであれば課税されるということになります。
実体のある通貨であれば古銭などのようにコレクションの対象にもなり得ますが、仮想通貨ではそうはいきません。
そうなると、法定通貨ではないとしても、通貨のようにしか使えないものに課税するというのはかなり無理があるように感じます。
記事によると、主要7ヵ国(G7)でビットコインに課税をしているのは日本だけだそうです。
企業経営を行うにあたって税務を無視することはできませんが、税務は税務と割り切ることも時には必要なのかも知れません……
(追記)2017年度税制改正法案が2017年3月27日に可決・成立し、仮想通貨に係る消費税の取扱いの見直しがされました。
次回は、中古の高級外車を購入するという節税方法の是非についてお話ししたいと思います。
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