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このブログ記事は、2019年2月6日に改題・更新しました。
今回は、「決算書を比較する対象」についてお話ししたいと思います。
中小企業だから中小企業と比較するべき?
中小企業の経営者であるあなたは、決算書を他社と比較するなら「同じぐらいの規模の企業と比較した方が良い!」と思っていないでしょうか?
そう思うあなたの気持ちは分からなくもありませんが、中小企業は決算書を公表していないことが多いため、そもそも比較してみたいと思う相手企業の決算書を入手することが簡単ではありません。
そのため、中小企業庁などから公表されている同業種の中小企業の平均値などを比較のための情報として利用することが一般的に行われていますが、残念ながら、この方法はあまりおススメできません。
なぜなら、同業種の中小企業の平均値などを比較のための情報として利用してしまうと、実際はそれほどでもないのに「他社と比べてウチはかなり儲かっているぞ!」というような勘違いをしてしまう危険があるからです。
『2016年版中小企業白書』の第2-6-3図<売上高経常利益率の分布>を見ると、経済産業省の平成26年企業活動基本調査に基づく売上高経常利益率の中小企業の平均値は3.48%であるのに対し、大企業の平均値は4.34%となっています。
けれども、同図をよく見ると、大企業の平均値を上回る中小企業の割合が32.3%もあるため、必ずしも“中小企業よりも大企業の方が儲かっている”という単純な図式にはなっていません。
つまり、中小企業の平均値が大企業の平均値を下回っているのは、(本来は比較の対象にするべきではない)赤字の中小企業の数があまりにも多いためであり、中小企業であっても儲かっているところは大企業よりも儲かっているのです。
企業規模と業績は比例関係にあるのか?
このような危険な勘違いを回避するには、「中小企業だから中小企業と比較しなければならない!」という単純な思い込みを排除する必要があります。
あなた以外にも「企業規模が大きい方が業績も良くなる傾向にあるはずだ!」と思っている人は多いのですが、先ほどのデータを見れば、それは必ずしも正しくないことが分かるはずです。
そこで、比較してみたいと思っている中小企業の決算書が入手できないような場合であれば、無理に同業種の中小企業の平均値などを利用するのではなく、あなたがベンチマークしている(≒お手本にしている)上場企業の決算書(正確には「財務諸表」ですが……)を利用することをおススメします。
確かに、企業規模が違うので、売上高や利益額などの金額そのものは比較できませんが、売上高利益率などのような比率や割合であれば比較することが可能ですから、工夫次第であなたの目的は達成できるはずです。
それに、上場企業の決算書なら、EDINETで検索をすれば、無料で簡単に入手することができます。(しかも、公認会計士や監査法人が会計監査を行っているので情報の信頼性も担保されています。)
次回は、「決算書を利用できる限界」について解説してみたいと思います。
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