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このブログ記事は、2020年9月4日に改題・更新しました。
今回は、「価格と利益の関係」について考えてみたいと思います。
販売価格を下げても、売上が増える条件とは?
中小企業の経営者であるあなたは、これまでに「販売価格を下げてでも、売上を増やしてやろう!」と思ったことはないでしょうか?
確かに、ほとんどの商品やサービスは販売価格を下げれば販売数量が増加しますから、販売数量の増え方によっては、販売価格を下げることで売上を増やすことは可能です。
ちなみに、販売価格を下げた場合に「どれくらい販売数量が増加するのか?」は、商品やサービスの性質によってそれぞれ異なります。
生活必需品に該当するようなものであれば、販売価格が低下しても、販売数量はあまり増加しませんが、ぜいたく品に該当するようなものであれば、販売価格が低下すれば、販売数量は大幅に増加することになります。
尚、このような販売価格の変化に対する販売数量の変化の割合のことを「価格弾力性」と呼んでいます。
利益も売上と同じように増加するのか?
もし、あなたが扱っている商品やサービスの価格弾力性が高いのだとしたら、売上を増やせるのですから、販売価格を下げたくなる誘惑に囚われてしまうのも無理はありません。
だからといって、利益も売上と同じように増加するとは限らないので注意が必要です。
例えば、販売価格10,000円、原価5,000円の商品を100個売り、500,000円の利益を得ているような場合を想像してみてください。
ここで、販売価格を2割下げると、販売数量が5割増加すると仮定すれば、
売上高は10,000円×(1-0.2)×100個×(1+0.5)=1,200,000円となり、
当初の売上高10,000円×100個=1,000,000円よりも2割増加することになりますが、
販売数量に関わらず原価は変わらないものと仮定すると、
販売価格を下げた後の利益は1,200,000円-5,000円×150個=450,000円となり、
当初の利益より50,000円も少なくなってしまいます。
但し、このような結論になるのは、販売数量に関わらず原価が変わらないと仮定しているからです。
そのため、販売数量を増やすことで、原価を下げることができるのであれば、販売価格を下げることで、利益も増やすことが可能になります。
前回の浸透価格によって、市場占有率を高めたいのは分かりますが……(中小企業だからこそできる価格戦略!その3)で説明したように、規模の経済や経験曲線の効果を享受できるような企業であれば、販売数量を増やすことで、原価を下げることができるはずです。
けれども、そのような経済効果を享受することができるのは、通常は上位の数社だけですから、財務的基盤が弱い中小企業がそのような経済効果を享受することはとても難しいと考えるべきでしょう。
そうだとすると、財務的基盤が弱い中小企業の場合、扱っている商品やサービスの価格弾力性が高く、販売数量を大幅に増やせるとしても、安易に販売価格を下げるべきではないという結論になるのではないでしょうか?
次回は、「差別化と価格の関係」について解説したいと思います。
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