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このブログ記事は、2020年3月7日に改題・更新しました。
今回も、消費税のインボイス制度について解説したいと思います。
区分記載請求書等と適格請求書等
中小企業の経営者であるあなたもご存知のように、令和元年10月1日から消費税の税率が10%に引き上げられ、そして、飲食料品や新聞に対する8%の軽減税率の適用も開始されましたが、令和5年10月1日(2023年10月1日)には「インボイス制度」が導入され、請求書等の様式が「適格請求書等*1」へと移行しました。
*1記載事項
1. 書類の作成者の氏名又は名称
2. 資産の譲渡等の年月日
3. 課税資産の譲渡等に係る内容
4. 課税資産の譲渡等の対価の額(税込み)
5. 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称
6. 軽減対象資産の譲渡等である旨
7. 税率ごとに区分して合計した対価の額(税込み)
8. 適格請求書発行事業者の登録番号
9. 税率ごとの消費税額及び適用税率
そこで、今回は請求書等の様式が「適格請求書等」へと移行することで、どのような問題が生じるのかについて説明します。
適格請求書等保存方式へと移行することで……
インボイス制度を導入しなければならなくなった理由については、前回の消費税のインボイス制度が導入されるのはなぜか?で説明しましたが、インボイス制度が導入されることによる影響は、ただ手続きが煩雑になるだけではありません。
(あなたも既にご存知だとは思いますが……)実は、インボイス制度が導入されることで最も影響を受けるのは、免税事業者(=消費税の納税義務が免除されている法人や個人事業者*2)の方なのです。
*2個人事業主という用語の方が一般的に使用されていますが、消費税法第2条第1項第3号で事業を行う個人を個人事業者と定義していますので、私のブログ記事では個人事業者という用語で統一しています。
なぜなら、消費税額の計算は、課税期間中の課税売上げに係る消費税額から、その課税期間中の課税仕入れ等に係る消費税額を控除することで行われていますが、インボイス制度が導入されると、一部の例外を除き、「適格請求書発行事業者(=税務署長に申請して登録を受けた課税事業者のこと)」が交付する「適格請求書等」の保存が仕入税額控除の要件となるからです。
そのため、たとえ小規模事業者であったとしても、取引先から今後も取引を継続するためには課税事業者へ変更するよう迫られるか、又は、消費税額分だけ値引きするように迫られる可能性が高く、値引きに応じられないのであれば、インボイス制度が導入された後は免税事業者でいることが難しくなります。(これもインボイス制度を導入した大きな狙いの一つなのでしょうが……)
尚、免税事業者等からの課税仕入れに係る経過措置として、「区分記載請求書等」と同様の事項が記載された請求書等を保存し、帳簿にこの経過措置の規定の適用を受ける旨が記載されている場合には、令和5年10月1日(2023年10月1日)から令和8年9月30日(2026年9月30日)までは80%、令和8年10月1日(2026年10月1日)から令和11年9月30日(2029年9月30日)までは50%、仕入税額控除することができることになっています。
次回は、給与所得控除の改正についてお話ししたいと思います。
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