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このブログ記事は、2018年4月4日に改題・更新しました。
今回は、営業収入と営業支出の関係について考えてみたいと思います。
営業支出を減らせば……
キャッシュフロー経営の目的は、フリーキャッシュフロー(余剰資金)や営業キャッシュフローを増やすことだとされていますが、営業支出を減らせば、フリーキャッシュフロー(余剰資金)や営業キャッシュフローを増やすことはできるのでしょうか?
確かに、営業キャッシュフローは、営業収入から営業支出を差し引くことで求められますし、フリーキャッシュフロー(余剰資金)は、営業キャッシュフローの額から、必要な投資に係るキャッシュフローの額を差し引くことで求められますから、営業支出を減らせば、フリーキャッシュフロー(余剰資金)や営業キャッシュフローを増やせそうな気はします。
けれども、明らかに無駄な営業支出を減らすような場合であれば話は別ですが、そうでないのであれば、フリーキャッシュフロー(余剰資金)や営業キャッシュフローはかえって減少する恐れがあります。
なぜなら、営業支出は営業収入を増やすために行うものだからです。
所詮、営業支出を減らすという発想は……
おそらく、営業支出を減らそうという発想は、資金繰りが厳しい時にこそ思いつくものだと思いますが、このような発想は、獲得したキャッシュを再び事業に投下せずに、金庫の中にずっと大事にしまっておく……という発想と本質的には変わりません。
もちろん、経営環境が厳しくなり、事業規模を縮小した方が良いと合理的に判断したような場合であれば、営業支出を減らすことは全く問題ありません。
しかし、資金繰りを改善する目的で営業支出を減らすのだとしたら、結果として、事業規模を縮小する意図で営業支出を減らす場合と同じことをすることになりますから、意図せずに営業収入を減らすことになってしまいます。
その結果、意図して減らした営業支出の額よりも、意図せずに減らしてしまった営業収入の額の方が多くなれば、フリーキャッシュフロー(余剰資金)や営業キャッシュフローは増えるどころか、かえって減少することになるでしょう。
ですから、資金繰りを改善したいと思うのならば、そのような発想ではなく、資金循環のどこに問題があるのかを把握するところから、まずは始める必要があります。
つまり、“キャッシュが目詰まりしているのは資金循環のどこなのか?”を探すことが何よりも先だということです。
その上で、再びキャッシュが効率的に循環できるように対策をすれば、おのずと資金繰りは改善するのではないでしょうか?
所詮、営業支出を減らすという発想は、田んぼに植える苗をケチるのと同じですから、やり過ぎると米の収穫量を減らしてしまうのと同じことになるのです。
次回は、利益とキャッシュの関係について解説してみたいと思います。
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