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このブログ記事は、2018年5月10日に改題・更新しました。
今回は、バリューチェーン(価値連鎖)分析について紹介したいと思います。
バリューチェーン(価値連鎖)分析とは何か?
企業は日々あらゆる活動を行っていますが、それらは購買物流、製造、出荷物流、販売・マーケティング、サービスといったメインとなる主活動と、これを支える全般管理(インフラストラクチャー)、人事・労務管理、技術開発、調達活動といった支援活動から成り立っています。
そして、これらの活動は企業としての価値を創造するために、相互に連鎖している関係にあり、この関係を通じて企業のマージンが計上されることになります。
そこで、これらの関係を把握することで、“競争優位のための源泉が何なのか?”を見つけ出すために行われるものがバリューチェーン(価値連鎖)分析であり、マイケル・E・ポーターによって開発されました。
バリューチェーン(価値連鎖)の最適化
バリューチェーン(価値連鎖)分析は、業務プロセスの分析を通して内部資源を見極めようとするものですが、企業のマージンを大きくするには、大きく分けて二つの方向性が考えられます。
一つ目が、効率の悪いボトルネックとなっている活動を見つけ出し、これを改善することで効率化(又はコストダウン)を図り、企業のマージンを大きくするものであり、二つ目が、企業価値を高めている活動を見つけ出し、これをより強化することで企業全体としての価値を高め、企業のマージンを大きくするものです。
例えば、アパレル業界における「SPA(Specialty store retailer of Private label Apparel)」と呼ばれるビジネスモデルでは、あまり価値を生まない製造という活動をアウトソーシング(=外部に製造を委託すること)することで効率化(又はコストダウン)を図り、更に、企業にとって最も価値を高めている商品企画や販売・マーケティングといった活動を強化することで企業全体としての価値を高め、企業のマージンを大きくしています。
尚、SPA(Specialty store retailer of Private label Apparel)では、利益率の高い商品企画や販売・マーケティングといった業務だけに特化するのではなく、商品企画から販売・マーケティングまでの一連の業務を全て取り込み、これらを自社のコントロール下におくことで流行に素早く対応できるようにし、売れ筋商品に注力して低価格と高利益率を同時に実現しています。
自社だけでなく……
バリューチェーン(価値連鎖)分析は、自社のバリューチェーン(価値連鎖)の状況を分析するだけでもそれなりの効果はありますが、ライバル社のバリューチェーン(価値連鎖)の状況と自社のバリューチェーン(価値連鎖)の状況を比較することで、“競争優位のための源泉が何なのか?”がより明確になり、企業にとって価値を高めている活動や効率の悪いボトルネックとなっている活動をより的確に把握することが可能となります。
又、SPA(Specialty store retailer of Private label Apparel)のように、一連の業務の全てを取り込むことで企業価値を高めるケースもありますが、自社で全てをカバーするのではなく、複数の企業間で協力することで、企業グループとしての価値を高めていくという発想も中小企業の場合には必要になってくるでしょう。
次回は、プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)について解説したいと思います。
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