金融機関の融資に対する考え方は今後どう変わるのか?(融資のキホンの基本!その8)

この度は、白石茂義公認会計士事務所のホームページをご覧いただき、誠にありがとうございます。

このブログ記事は、2017年11月3日に改題・更新しました。

今回は、金融機関の融資に対する考え方が今後どのように変化していくのか?について考えてみたいと思います。

担保中心の融資の限界?

少し前になりますが、金融庁より『これまでの金融行政における取組みについて(平成27年12月)』が公表されました。

内容を要約すると、地域密着型金融のビジネスモデルを構築するために、各金融機関は「事業性評価」を行い、融資先に対してコンサルティング機能を発揮してもらいたいということが述べられています。

そして、これを受けて経済産業省から『ローカルベンチマークについて(平成28年4月)』が公表され、各金融機関が事業性評価を行うためのツールとして「ローカルベンチマーク(略してロカベンと呼ぶそうです)」の内容が紹介されました。

事業性評価?

両報告書に共通しているのは、経済環境の変化に伴い、地域の金融機関の姿勢としては、今までのような資産査定中心の評価に基づいた融資の仕方を改め、企業の実態評価に基づいた融資の仕方に改めていこうという考え方が根底にあるという点です。

つまり、これからは担保中心の融資を改め、地域経済を担う企業の将来性を見据えた融資に切り替えていくことで、地域経済を活性化させ、ひいては地方創生を実現していくということです。(今のところ、そうはなっていませんが……)

どのように評価されるのか?

『ローカルベンチマークについて(平成28年4月)』の内容を少しだけ見てみると、個別の企業に対する経営力の評価について、「財務情報」と「非財務情報」の観点から行われることが説明されています。

財務情報については、

売上高増加率(=売上高/前年度売上高)を見ることで「売上持続性」を把握し、

営業利益率(=営業利益/売上高)を見ることで「収益性」を把握し、

労働生産性(=営業利益/従業員数)を見ることで「生産性」を把握し、

EBITDA有利子負債倍率(=(借入金-現預金)/(営業利益+減価償却費))を見ることで「健全性」を把握し、

営業運転資本回転期間(=(売上債権+棚卸資産-買入債務)/月商)を見ることで「効率性」を把握し、

自己資本比率(=純資産/総資産)を見ることで「安全性」を把握するとあり、

複数の視点から、総合的な評価を行うようになっているのが特徴です。

複数の視点から総合的評価をする!

一方、非財務情報については、

「経営者への着目」「事業への着目」「関係者への着目」「内部管理体制への着目」という四つの視点から評価を行うことで、財務情報などとの整合性を確かめることが説明されています。

正直、専門家の立場から言わせてもらうと、これらにあまり目新しさは感じませんが、それでも“企業の実態と向き合わなければならない”という姿勢へ転換したことは一定の評価をしたいと思います。

但し、ローカルベンチマークを使って事業性評価をきちんと実行するためには、ただ税務や決算書の作成に詳しいだけ……という人では対応することが難しくなることは間違いありません。

さて、経営者であるあなたをいつも助けてくれている“あの人”は大丈夫でしょうか?

あの人は大丈夫?

次からは、「上手に資金調達しよう!」を始めます。

その7へ←     →次へ 

白石茂義公認会計士事務所では、士業コンシェルジュというコンセプトのもと、特に、愛媛県松山市、今治市、新居浜市、西条市の経営者の皆様からのお問い合わせをお待ちしております。

必要の際には、ぜひ、お気軽にお問い合わせください。