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このブログ記事は、2019年2月6日に改題・更新しました。
今回は、「損益計算書」についてお話ししたいと思います。
それぞれの利益が意味するもの……
中小企業の経営者であるあなたは、「損益計算書」をチェックする際に、どの利益を最も重視しているでしょうか?
日本の会計基準によって損益計算書が作成される場合、「売上総利益」「営業利益」「経常利益」「税引前当期純利益」「当期純利益」という5つの利益が表示されますが、それぞれ計算対象になる収益と費用の範囲が異なるので、利益の意味は大きく違ってきます。
売上総利益は、売上高から売上原価を差し引くことで計算されるので、“販売活動による直接的な儲けがどれくらいあったのか”を表すことになります。
営業利益は、売上総利益から販売費及び一般管理費を差し引くことで計算されるので、“本業による儲けがどれくらいあったのか”を表すことになります。
経常利益は、営業利益に財務活動などの損益である営業外収益や営業外費用を加減することで計算されるので、“本業及び本業以外の経常的な企業活動による儲けがどれくらいあったのか”を表すことになります。
当期純利益は、経常利益に臨時的・偶発的な損益である特別利益や特別損失を加減することで税引前当期純利益を算定し、そこから法人税等を差し引くことで計算されるので、“全ての企業活動を考慮した場合の儲けがどれくらいあったのか”を表すことになります。
尚、どの利益もそれなりに重要だといえますが、企業経営に役立てるという観点からは、最終的な利益である当期純利益を最も重視するべきでしょう。
損益計算に対する2つの考え方!
損益計算書によって計算される最終的な利益については、会計上、「当期業績主義」「包括主義」という2つの考え方が存在します。
当期業績主義というのは、企業の正常な収益力を表示するために損益計算書が作成されるという考え方であり、包括主義というのは、企業の期間的な処分可能利益を表示するために損益計算書が作成されるという考え方です。
そのため、当期業績主義によれば臨時的・偶発的な損益を当期純利益の計算には含めてはならず、逆に、包括主義によれば臨時的・偶発的な損益も含めて当期純利益を計算しなければなりません。
日本の場合には、企業会計原則を設定した昭和24年に当期業績主義を採用し、現在の経常利益に相当する利益を当期純利益として扱っていましたが、その後、昭和49年に商法との調整の観点から包括主義を採用し、現在の当期純利益と同じものに変更した後でも、経常利益の計算区分を設けることで、従来の処理との調整を図った(以前の当期純利益を経常利益という形で残した)という経緯があります。
いわば、当期業績主義と包括主義の“いいとこ取り”をしたわけですが、これによって最終的な利益に対する2つの考え方を実質的に併存させていることになります。
ちなみに、同じ包括主義を採用している国際会計基準(IFRS)などでは、経常利益の概念そのものがありません。
次回は、「キャッシュ・フロー計算書」について解説してみたいと思います。
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