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このブログ記事は、2018年10月23日に更新しました。
今回は、「限界利益」について解説したいと思います。
売上高が増加すれば、営業利益もそれに比例して増加するのか?
中小企業の経営者であるあなたは、「売上高が増加すれば、営業利益もそれに比例して増加するのでは……」と思ったことはないでしょうか?
確かに、あなたがそう思ってしまうのも無理はないのですが、残念ながら、売上高が増加したとしても、営業利益がそれに比例して増加するというわけではありません。もし、営業利益が比例して増加したのだとしたら、それは偶然そうなっただけなのです。
それでは、なぜ、売上高が増加したとしても、営業利益がそれに比例して増加することはないのかというと、売上高から控除される営業費用が、売上高に比例して増減するとは限らないからです。
実は、費用には、操業度の増減とは関係なく一定額発生する「固定費」と操業度の増減に応じて発生額が変化する「変動費」があります。
但し、ここでいう操業度とは生産設備の稼働率のことであり、直接作業時間や機械稼働時間などによって表現されるものですが、売上高の増減ともある程度の相関性があると考えられるので、簡便的に、固定費は売上高の増減とは関係なく一定額発生し、変動費は売上高の増減に応じて発生額が変化するものだと捉えることもできます。(あくまでも、簡便的にそう捉えていると理解できていることが前提ですが……)
そうだとすると、営業費用を固定費と変動費に区別して、まずは売上高から変動費だけを控除して利益を計算することで、売上高の増減に比例する利益を表すことができるようになりますが、そのようにして計算された利益が「限界利益」と呼ばれるものなのです。
- 限界利益=売上高-変動費
変動損益計算書とは?
上述したように限界利益は売上高の増減に比例するので、営業利益の他に限界利益を表示することで、売上高の変化による企業の業績の変化を感覚的に把握することが可能になります。
そこで、下記のような様式の「変動損益計算書」というものが考案されました。
ただ、変動損益計算書を作成するためには、費用を固定費と変動費とに分解(以下、「固変分解」という。)する必要があります。
けれども、固変分解をすることは、あなたが思うほど簡単なことではありません。(これについては、詳しくは固定費と変動費を上手く分解できないのだとしたら……(管理会計のワナ!その3)をご覧ください。)
それどころか、固変分解の正確性については企業外部から検証するのが非常に困難なため、固変分解を恣意的に行うことで、利益操作に利用される危険さえあるのです。
そのため、残念ながら、変動損益計算書は制度会計では使用することが認められておらず、これらは社内用として利用するしかありません。
しかし、変動損益計算書を予算管理などに利用することのメリットは非常に大きいといえます。
もし、あなたが経営している会社で変動損益計算書を利用していないのだとしたら、ぜひ導入してみることをおススメします。
次回は、「ゴーイングコンサーン(継続企業の公準)」についてお話ししたいと思います。
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