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このブログ記事は、2018年7月16日に改題・更新しました。
今回は、会計上の減価償却と税務上の減価償却について考えてみたいと思います。
会計上の減価償却?税務上の減価償却?
時々、「あの~、減価償却って絶対しないとダメなんでしょうか?」と中小企業の経営者の方から質問されることがあります。
このような質問に対して、私は今までの経験から“減価償却が税務上強制されているのか?”という意味の質問であると解釈して、「あなたが個人事業者*であるのなら、所得税法上は減価償却をしないといけませんが、あなたが会社経営者であるのなら、法人税法上は減価償却をしなくても特に問題はありませんよ。」という風に返事をしています。
*個人事業主という用語の方が一般的に使用されていますが、消費税法第2条第1項第3号で事業を行う個人を個人事業者と定義していますので、このブログ記事では個人事業者という用語を使用しています。
そうすると、質問される方のほとんどは会社経営者なので、何となく“ほっとした”ような表情をされるのですが、その後に、「税務上のルールはそうなっていますけど、会計上はもちろん減価償却をしないといけませんよ!」と私が説明を付け加えると、皆さん決まってビックリされます……
会計上の減価償却と税務上の減価償却の違い!
ここまでの話で、中小企業の経営者であるあなたは、「会計上の減価償却」と「税務上の減価償却」があるということと、それら2つは考え方がそれぞれ違うということに気がつかれたかと思います。
会計上の減価償却の主な目的は、適正な費用配分をすることによって、毎期の損益計算を正確に行うことにあります。
但し、減価償却の計算要素、ちゃんと分かっていますか?(あなたの減価償却は間違っている?その2)でも説明したように、現行の減価償却方法は、本来行うべき減価償却方法を実施することが実務上困難なため、代わりに認められている方法でしかありません。
そのため、関係者が合意した一定のルールに従って、計画的・規則的に行うことがとても重要なのであり、経営者の都合によって、減価償却をやったり、やらなかったり、又は、減価償却方法を自分勝手に変更したりするのは“もってのほか”ということになります。
一方、税務上の減価償却の主な目的は、課税の公平を図りながら、税収の確保をすることにあります。
分かりやすくいうと、不公平にならないように配慮をしつつ、儲かっていそうなところからなるべく多くの税金を徴収するということです。
これを実現するには、納税者全員が画一的な計算方法によって所得を計算すればよいのですが、自分から不利な計算方法をやりたいと希望する者に対しては、これを認めたとしても特に問題にはなりません。
つまり、経営者の都合によって減価償却をやらないということを認めたとしても、減価償却をしない分だけ所得が多く計算されて納税額が増えるだけですから、課税をする側からすれば何ら問題はないということです。(逆に、減価償却費を多く計上することは、税収額が減るので認められることはありません!)
ちなみに、平成28年4月1日以後に取得する建物附属設備及び構築物の償却方法については定額法のみに一本化され、又、平成28年4月1日以後に取得する鉱業用の建物、建物附属設備及び構築物については定額法または生産高比例法のいずれかを選定することになりました。
何のための改正なのかは、もう分かりますよね?
次回は、減価償却の効果について解説したいと思います。
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