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このブログ記事は、2020年3月7日に改題・更新しました。
今回は、消費税のインボイス制度について解説したいと思います。
消費税の税率が引き上げられましたが……
中小企業の経営者であるあなたもご存知のように、令和元年10月1日から、消費税の税率が10%に引き上げられ、又、飲食料品や新聞に対する8%の軽減税率の適用も開始されましたが、これに伴い、令和5年10月1日(2023年10月1日)から「インボイス制度」が導入されています。
そこで、今回はインボイス制度が導入されなければならない理由について、消費税を算定する仕組みの観点から説明します。
単段階課税方式と多段階課税方式
実は、財貨やサービスの消費に対して課される間接税には、アメリカで“売上税”と呼ばれているような「単段階課税方式」のものと、日本で“消費税”と呼ばれているような「多段階課税方式」のものがあります。
一般的な、製造業者→卸売業者→小売業者→最終消費者という流れを前提にすると、両者の大きな違いは「どの時点で課税がされるのか?」という点です。
アメリカで“売上税”と呼ばれているような「単段階課税方式」の場合、課税されるのは、小売業者→最終消費者という最終消費者に売上をする時点だけです。
一方、日本で“消費税”と呼ばれているような「多段階課税方式」の場合、課税されるのは、製造業者→卸売業者、卸売業者→小売業者、小売業者→最終消費者という付加価値が増加する各時点になります。
そのため、「多段階課税方式」の場合、正確に課税するためには、各時点の付加価値額がどのようになっているのかをきちんと把握しなければなりませんが、それを可能にするものが「適格請求書等(これを税務上はインボイスと呼んでいる)」なのです。
インボイス制度がこれまで導入されなかったのは……
日本の消費税が「多段階課税方式」を採用しているにも関わらず、これまで「適格請求書等」を必要としてこなかったのは、過去の消費税が単一税率であり、又、それほど税率が高くなかったためです。
このような状況であれば、わざわざ「適格請求書等」を使わなくても、ある程度の精度で計算をすることができましたから、付加価値額の把握について簡便な方法を容認することが可能でした。
しかし、複数税率になったことで、これまでのような方法で計算をするとしても、その正確性を検証することは難しくなりますし、又、消費税の税率が上がっていることで、簡便な方法を容認することで生じる益税(=消費者から預かった消費税が国庫に納入されず、事業者の利益になってしまうこと)も無視できないレベルで生じることになります。
以上のような理由から、企業に与える影響が大きいことは分かっていても、インボイス制度の導入を回避することができなくなったわけです。
経営者であるあなたとしては「面倒くさいことになったなぁ」というのが本音だと思いますが、本来あるべき姿に修正したというのが本当のところですから、ここは我慢するしかありません……
次回も、消費税のインボイス制度についてお話ししたいと思います。
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