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このブログ記事は、2019年2月10日に改題・更新しました。
今回は、「現金主義から発生主義及び実現主義への移行」についてお話ししてみたいと思います。
現金主義から発生主義へ!
資産・負債・純資産(資本)・収益・費用とはどのようなものか?(中小企業経営者のための簿記会計入門!その3)で説明した収益や費用の“認識のタイミング”については、複数の考え方が存在します。
シンプルで分かりやすいのは、収入や支出があった時点で収益や費用を認識するという「現金主義」の考え方ですが、現代の複雑な企業活動を前提にするといくつか問題があります。
例えば、現金取引ではなく、掛や手形による取引が行われている場合、実際に取引が行われた時点と収入や支出があった時点が乖離してしまいます。
他にも、長期間使用する予定の高額な機械装置を購入したような場合、代金を支払った時点で費用を認識してしまうと、費用を計上する時期が偏ってしまい、利益を正しく計算することができません。
そこで、このような問題を克服するために、経済的な価値の増減があった時点で収益や費用を認識するという「発生主義」の考え方が生まれ、現代の会計はこの発生主義の考え方をベースに成立しています。
実現主義が採用される理由とは?
このように、歴史的には現金主義の問題を克服するという形で発生主義が登場してきたのですが、発生主義に全く問題がないわけではありません。特に問題なのは、何をもって“経済的な価値の増減があった時点”とするのかが分かりにくいことでしょう。
そのため、「経営者が収益や費用の認識を自分勝手に行っているのではないか?」と利害関係者に疑われてしまうと、貸借対照表や損益計算書が信用されなくなるという危険が生じてしまいます。
そこで、主観的判断が介入する余地が大きく、又、その影響も大きい収益については、原則として発生主義によるのではなく、「実現主義」により認識を行うものとされました。
尚、実現主義というのは、後で取り消されることがないという確実性や金額の客観性、算出される利益の処分可能性が確保される販売時点まで収益の認識を遅らせるというものですが、発生主義を広く捉えた場合には、実現主義は発生主義に含まれることになります。
ちなみに、発生主義や実現主義であっても、計上額については収入や支出に基づく額によることとされているため、仮に企業の設立から解散までの各期間の利益を合計したとすると、現金主義によった場合と差異はないことになります。(発生主義や実現主義を採用することが社会的に容認されているのはこのためです!)
次回は、「決算整理手続きの必要性」について解説したいと思います。
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