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このブログ記事は、2019年2月7日に改題・更新しました。
今回は、「借方・貸方という用語の意味」についてお話ししてみたいと思います。
あなたが「借方(Debit)」「貸方(Credit)」という用語に違和感を持つのは……
中小企業の経営者であるあなたもそう感じているのかもしれませんが、「借方(Debit)」「貸方(Credit)」という用語に違和感を持つ人は意外に多いのです。
確かに、貸借対照表の「借方」に貸付金が計上され、「貸方」に借入金が計上されるという説明を聞くと、「何だか変だな……」と思ったとしても無理はないでしょう。
けれども、それは“借りる”や“貸す”という言葉のイメージに囚われ過ぎていることから生じているものでしかありません。
実は、複式簿記の原型は、中世イタリアの金融業を生業とする商人の記帳法を数学者であったルカ・パチョーリが体系化したものだと言われているのですが、「借方(Debit)」「貸方(Credit)」という用語は、その頃の名残を強く留めているものなのです。
中世イタリアの金融業を生業とする商人は、帳面の左側に“自分にお金を借りている人”の情報を記入し、帳面の右側に“自分にお金を貸している人”の情報を記入していました。
つまり、“自分にお金を借りているのか”、それとも、“自分にお金を貸しているのか”という観点から、「借方(Debit)」「貸方(Credit)」という用語を使っていたのです。
現在の「借方(Debit)」「貸方(Credit)」という用語が持つ意味は……
なぜ、左側が「借方(Debit)」と呼ばれ、右側が「貸方(Credit)」と呼ばれるのかについては、先ほど説明した通りなのですが、現在の簿記会計では、対象となる業種を金融業だけに限っていないこともあり、“自分にお金を借りているのか”、それとも、“自分にお金を貸しているのか”というような観点から、「借方」と「貸方」の使い分けはしていません。(というか、そのような使い分けができません……)
それどころか、貸借対照表の「借方」には貸付金が計上され、「貸方」には借入金が計上されているのですから、“借りる”と“貸す”という言葉のイメージとは真逆の使われ方をしており、もはや「借方」と「貸方」の“借”と“貸”という言葉には何の意味もなく、ただ「借方=左側」「貸方=右側」という意味しか有していないということになります。
ですから、中小企業の経営者であるあなたが「借方(Debit)」「貸方(Credit)」という用語に違和感を持っていたとしても、あまり神経質にならず、現在では「借方=左側」「貸方=右側」という意味しか有していないことが分かっていればそれで十分なのです。
次回は、「複式簿記の本質とその利点」について解説したいと思います。
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