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このブログ記事は、2020年10月17日に改題・更新しました。
今回は、「士業の業際問題」について考えてみたいと思います。
士業とは何か?
中小企業の経営者であるあなたは、「士業」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
士業とは、公認会計士や税理士のような資格に基づいた専門性の高い職業のことですが、これらの職業名の最後が「士」という漢字で共通することから、「士業」と呼ばれています。
尚、本来は「士業(しぎょう)」と呼ぶのが正確なのでしょうが、「士」という漢字がサムライと読めるので、あえてサムライ業と呼ぶ人も多いです。
又、専門性が高いという理由から、これら士業には「独占業務」と呼ばれる、その資格を有したものでなければ行えない業務が認められていることが多いという特徴もあります。
例えば、公認会計士であれば「会計監査」、税理士であれば「税務代理・税務書類の作成・税務相談」、社会保険労務士であれば「労働社会保険諸法令に基づく書類の代理作成・提出」、行政書士であれば「役所に提出する許認可等の書類の作成並びに提出手続代理」、司法書士であれば「不動産登記や商業登記などの登記業務」などです。
当然、これらの業務を該当する資格を有しない者が行えば厳罰に処されることになります。
士業の世界にも「縦割り行政」の弊害が……
中小企業の経営者であるあなたが、これら士業を営んでいる者と関わることがあるとすれば、おそらく相手は「税理士」でしょう。
なぜなら、中小企業であっても、税務申告をしたり、税務調査を受けたりすることは避けられませんが、税務業務は専門性が高く、自ら対応することができない場合には税理士に依頼するしか方法がないからです。
そのため、他の士業と比べて接触する機会が多い税理士に対し、何かと頼りになる存在だと感じている中小企業の経営者は多いはずです。
けれども、先ほども説明したように、従業員に関する労働社会保険諸法令に基づく書類の作成を依頼するような場合であれば、「社会保険労務士」にお願いする必要がありますし、又、建設業を営んでいるような場合で許認可に関する書類の作成を依頼するような場合であれば、「行政書士*」にお願いする必要があります。
*公認会計士や税理士の資格を有している者は行政書士として登録することができますが、これらの者が役所に提出する許認可等の書類の作成並びに提出手続代理を行う場合には「行政書士」として登録する必要があります。つまり、公認会計士や税理士の資格だけでは、行政書士の独占業務を行うことはできません。
このように、士業の世界にも、これら士業を監督している省庁ごとの「縦割り行政」の弊害が及んでいるため、あなたが依頼したいと考えている業務が複数の省庁のナワバリを跨いでいるような場合には、あなたが普段から頼りにしている税理士の先生にすべてをお任せできるとは限らないのです。(これらは「業際問題」と呼ばれています。)
中小企業の経営者であるあなたからすれば、わざわざ複数の相手に業務を依頼しなければならないというのは何とも面倒くさい話ですが、「所詮、お役所がやることはこんなもの……」と割切る気持ちが必要なのかもしれません。
次回は、企業経営の「変えていくべきもの」と「変えてはいけないもの」についてお話ししたいと思います。
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