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このブログ記事は、2020年10月17日に改題・更新しました。
今回は、「優越的地位の濫用」について考えてみたいと思います。
デジタル・プラットフォーマーが提供するサービスを利用する際には……
中小企業の経営者であるあなたは、GAFAに代表される「デジタル・プラットフォーマー」が提供するオンライン・ショッピング・モールなどのサービスをビジネスに利用したことはあるでしょうか?
確かに、デジタル・プラットフォーマーが提供するサービスは気軽に利用できるというだけでなく、他の方法では考えられないような成果が得られることもあるので、経営者としては「これらのサービスをビジネスに利用しない手はないぞ!」と思ってしまうのも無理はありません。
けれども、デジタル・プラットフォーマーが提供するサービスを利用する際には、デジタル・プラットフォーマーが「優越的地位の濫用」を行うことで、利用者に不利益を押し付けてくる危険が常にあることは意識しておく必要があります。
ちなみに、優越的地位の濫用とは「自己の取引上の地位が相手方に優越している一方の当事者が、取引の相手方に対し、その地位を利用して、正常な商慣習に照らし不当に不利益を与える行為のこと」であると公正取引委員会のホームページ上で説明されています。
デジタル・プラットフォーマーの方が圧倒的に強い立場にいるのは……
デジタル・プラットフォームを利用する事業者や消費者よりも、運用者であるデジタル・プラットフォーマーの方が圧倒的に強い立場にいるのは、デジタル・プラットフォームには利用者が増えれば増えるほど利用者の利便性が増すという「ネットワーク外部性」という特性が備わっているからです。
そのため、参加人数が最初にクリティカルマス(臨界点)を超えたデジタル・プラットフォーマーが競争上は圧倒的に有利になるので、時間の経過とともに実質的な独占状態が出来上がることになります。
もちろん、デジタル・プラットフォーマーが優越的地位の濫用を行ったとしても、利用者の側がすぐにサービスの利用を停止することができるのであれば、優越的地位の濫用はあまり問題になりませんが、現実には、それらのサービスの利用を停止することは難しいでしょうから、多少の不利益には目をつむっても利用を継続することになるはずです。
特に零細な中小企業の場合には、デジタル・プラットフォーマーが信用力を担保してくれることで、消費者との取引が成立する場合も多いため、デジタル・プラットフォーマーによる優越的地位の濫用の問題は企業の死活問題に直結していることになります。
このような背景もあり、令和元年12月17日(2019年12月17日)に『デジタル・プラットフォーム事業者と個人情報等を提供する消費者との取引における優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方』が公正取引委員会より公表され、又、令和2年5月27日(2020年5月27日)には「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律」が成立しています。
これらの規制により、デジタル・プラットフォーマーによる優越的地位の濫用を抑止することができるようになればよいのですが、デジタル・プラットフォーマーに対する規制はまだ始まったばかりです。
今後、規制が効果を発揮していくためには、デジタル・プラットフォーマーに対する社会的な関心が更に高まることで、もっと監視の目が厳しくなる必要があるでしょう……
次回は、「士業の業際問題」についてお話ししたいと思います。
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