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このブログ記事は、2020年3月5日に改題・更新しました。
今回は、税金と借入金の関係について解説したいと思います。
支払うべき税金の額が少なくなる?
中小企業の経営者であるあなたは、もしかしたら、借入金の返済が増えれば支払うべき税金の額が少なくなると思っていないでしょうか?
実は、中小企業の経営者の中には、借入金の返済が増えれば支払うべき税金の額が少なくなると思っている人が結構います。
彼らの話を聞いてみると、どうやら、借入金の返済をすると手元の資金が会社から出ていくことになるので、経費の支払いと同じようなものだと錯覚してしまうらしいのです。
しかし、いくら支払いを伴うものであっても、借入金の返済は金銭消費貸借契約に基づいて資金移動が行われているに過ぎず、利益を獲得するために費消されるという性質のものではありません。
そのため、借入金の返済は経費の支払いとは異なり、費用性が認められることはないので、残念ながら、支払うべき税金の額を少なくすることはできないのです。
但し、借入れに伴って生じる支払利息に関しては、借入金の返済と違って費用性が認められますから、経費の支払いと同じように支払うべき税金の額を少なくする効果があります。
とはいえ、借入金に対する支払利息の割合を考えてみれば、その効果はとても小さいものであるということが分かるはずです。
借入金の返済原資について考えてみると……
それでは、今度は借入金の返済原資について考えてみましょう。
今は金利がとても低いため、たとえ多額の借入れを行ったとしても利息の負担は少なく、借入れをすることに対する抵抗感はあまりないのかもしれません。
けれども、借入金の返済原資は、基本的には税引後の当期純利益+減価償却費ですから、減価償却費の存在を無視すると、支払うべき税金の額を増やさなければ、借入れの額を増やすことはできないという関係にあります。
例えば、法人税の実効税率が30%であると仮定し、計算を簡便化するために減価償却費や支払利息などの存在を無視すると、その期に1,000万円の借入金の返済が必要だとするなら、{1,000万円÷(1-30%)}×30%≒429万円という計算式より、約429万円の法人税の支払いが必要になることが分かります。
そして、同時にこれは、借入金を返済するためには、最低でも約1,429万円の税引前当期純利益を獲得しなければならないことも意味しています。
もちろん、借入れがあろうとなかろうと、企業経営を継続していくためには、できるだけ多くの当期純利益を獲得していく必要がありますが、それでも、借入れがある場合には、その期の返済額に応じて必要となる当期純利益の額も決まってくるという点で、企業経営に与えるプレッシャーは比較にならないぐらい大きくなります。
冒頭でも説明したように、もし、あなたも借入金の返済が増えれば支払うべき税金の額が少なくなると思っていたのなら、現実はそうではないと肝に銘じておくべきでしょう。
次回は、法人税法における中小企業の範囲についてお話ししたいと思います。
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