会社法が定めていない経営者の肩書を名乗っても……

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このブログ記事は、2020年11月7日に改題・更新しました。

今回は、「経営者の肩書」について考えてみたいと思います。

経営者は自分をどんな肩書で呼んで欲しいのか?

中小企業の経営者であるあなたは、自分をどんな肩書で呼んで欲しいでしょうか?

自分をどんな肩書で呼んで欲しいのか?

普通に「社長」と呼ばれたいでしょうか?

それとも、「代表取締役」と呼ばれたいでしょうか?

もしかしたら、米国のように「CEO(Chief Executive Officer)」と呼ばれたいでしょうか?

ちなみに、私の経験では、中小企業の経営者は従業員に「社長」と呼ばれていることがほとんどですが、頂いた名刺を拝見すると「社長」ではなく「代表取締役」と記載されていることが多いです。(時々「代表取締役社長」と記載されている場合もありますが……)

又、私自身は会ったことはないのですが、都会の若い経営者の中には、ドメスティック企業(=国内だけで事業を行っている企業)なのに、名刺に「CEO(Chief Executive Officer)」と記載している人もいるそうです。

「社長」の役職にしか就いていないのだとしたら……

中小企業の経営者であるあなたもご存じのように、社長というのは「会社の長(=一番偉い人)」という意味で使われている俗称ですから、仮に、その者が「社長」の役職にしか就いていないのだとしたら、その者は会社の業務執行権も代表権も有していないということになってしまいます。

会社法が定める手続きに従って「取締役」や「代表取締役」などに就任していない場合も同様です!

但し、一般的に「社長」という肩書は、会社の業務執行権や代表権を有している者(つまり「代表取締役」や「代表執行役*」である者)が名乗ることが多いため、取引相手が「社長」という肩書を信用して取引をした場合、後になって取引をキャンセルされるようなことがあれば、その取引相手は不測の損害を被ってしまう危険があります。

*指名委員会等設置会社における会社の業務執行権や代表権を有している者のこと。

そこで、会社が「代表取締役」や「代表執行役」でない者に「社長」という肩書を名乗らせていた場合、会社法上、その者は「表見代表取締役」や「表見代表執行役」として扱われ、会社は善意の第三者(=会社の業務執行権や代表権を有していないことを知らない相手)に対して責任を負う(=会社の業務執行権や代表権を有していないことを理由に取引をキャンセルできない)可能性が高くなります。

「CEO(Chief Executive Officer)」という肩書の場合だと……

それでは、「CEO(Chief Executive Officer)」という肩書の場合はどうなるでしょうか?

俗称である「社長」という肩書と異なり、「CEO(Chief Executive Officer)」という肩書は、米国では法律で認められた正式な役職を表したものです。

そのため、米国の企業が子会社を設立するなどして日本に進出してきたような場合、米国と同じように「CEO(Chief Executive Officer)」という肩書で統一しようとすることは十分考えられます。

米国と同じように「CEO(Chief Executive Officer)」という肩書で統一しようとすることは十分考えられる!

しかし、「CEO(Chief Executive Officer)」を日本語に翻訳すれば、最高経営責任者ということになりますから、厳密には「代表取締役」や「代表執行役」と同じではなく、仮に、その者が「CEO(Chief Executive Officer)」の役職にしか就いていないのだとしたら、日本においては、先ほどの「社長」の場合と同じ結論になります。

いずれにせよ、日本においては、会社法が定めていない経営者の肩書を名乗っても、社内においてはともかく、対外的にはあまり意味を持ちませんから、「どのような肩書を名乗るのか?」はよく考えて決めた方が良さそうです……

次回は、「スペシャリスト」や「ゼネラリスト」についてお話ししたいと思います。

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