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このブログ記事は、2017年4月25日に更新しました。
今回は、「減損損失」や「減損会計」について解説したいと思います。
減損損失とは?そして、減損会計とは?
最近、「減損損失」という言葉をよく耳にするようになりました。
減損損失というのは、「減損会計」を適用することで計上される損失のことです。
そして、減損会計というのは、固定資産などの資産の収益性が低下し、その回収が難しいと判断される場合に、その下落分について簿価を切り下げると共に、損失として計上する会計処理のことをいいます。
尚、減損会計は、主に、固定資産やのれんなどに対して適用されます。
設例を使って考えてみよう!
上記の説明では、イメージしにくいと思いますので、以下、簡単な設例を使って説明してみます。
(設例1)
条件1 機械X 価格は500万円、5年間使用可能、購入後の価値0円
条件2 機械Xを使うと、毎期120万円の収入が見込まれる。
尚、簡便化のため、時間価値(資本コスト)や減価償却は無視するものとする。
このような場合、あなたは次のように判断したはずです。
支出は500万円、収入は120万円×5年で600万円
よって、儲けは600万円-500万円=100万円なので、機械Xを購入するべきである。
そこで、あなたは機械Xを購入しました。しかし、その1年後、次のように状況が変化したらどうなるでしょう?
(設例2)
機械Xを使った収入について、2年目以降は、毎期60万円の収入しか見込めない。
すると、以下のようになります。
支出は1年目に生じているので、500万円と変わりませんが、収入は120万円(1年目の分)+60万円×4年(2年目~5年目の分)=360万円になります。
よって、儲けは360万円-500万円=△140万円 機械Xを購入して140万円損をしたことになります。
この損をした140万円が減損損失です。
更に、この場合に、条件1を次のように変化させたらどうなるでしょう?
(設例3)
機械Xの購入後の価値0円→2年目に機械Xの中古品を250万円で売却できる。
すると、以下のようになります。
支出は同じく500万円ですが、収入は売却する場合の370万円[120万円(1年目の分)+250万円(売却額)=370万円]か、設例2のように、使用し続ける場合の360万円[120万円(1年目の分)+60万円×4年(2年目~5年目の分)=360万円]のどちらかを選択できます。(注:実際に機械を売却するかしないかは問われません。)
当然、有利な方を選択するはずですから、売却する場合の370万円を選択し、この場合の減損損失は130万円(370万円-500万円=△130万円)になります。
減損会計の実務と税務計算
減損会計について、実務では、営業活動から生ずるキャッシュ・フローが継続してマイナスになるなどの減損の兆候を把握すると、減損損失を認識するかどうかのテストを行い、認識が必要と判定されたら、減損損失を測定し、減損損失を計上することになります。
但し、減損会計は、外部の株主などが企業の状況を正しく判断できるようにするためのものです。
そのため、大勢の外部株主がいる上場企業では、減損会計は強制されますが、中小企業においては、減損会計は行われていないのが実情です。
一方、税務計算をする際には、減損損失を損金(税金計算上の費用のようなもの)として処理することは認められていません。
それらは、あくまでも予測に基づくものであり、まだ確定していないので、税務上は、現実の損失とは考えないのです。
よって、減損損失を計上していた場合、税務上は、それらを否認する処理が追加で必要になります。
次回は、「割引率」についてお話ししたいと思います。
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