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このブログ記事は、2020年5月19日に改題・更新しました。
今回は、「同一労働・同一賃金」について解説してみたいと思います。
同一労働・同一賃金とは何か?
「同一労働・同一賃金」というのは、文字通り、同じ仕事をする労働者には、同じ額の賃金を支払うべきであるということを意味する用語ですが、ある時点における同一の物・サービスの価格は一つに定まるという経済学の「一物一価の法則」の考え方を労働市場に当てはめたものでもあります。
ちなみに、欧米諸国では「同一労働・同一賃金」の考え方が定着しているのですが、日本ではあまり定着していませんでした。
その理由はいくつか考えられるのですが、欧米諸国では給与額を算定する際の評価の対象が「仕事」そのものであり、かつ、その価格が市場で決まるのに対し、日本では仕事を担当する「労働者」が評価の対象とされることが主な理由だとされています。
更に、日本の場合、その評価の仕方が一律でなく、年齢や経験、能力など、あらゆるものを考慮して行われるため、担当する仕事がほとんど同じであっても、人によって給料の額が変わることは珍しくありません。
人件費が高くなることで……
このように、日本では日本独自のルールにより評価がされてきたのですが、最近になって、「同一労働・同一賃金」の必要性が叫ばれるようになったのは、正規労働者と非正規労働者との格差が社会的に無視できないレベルになってきたからです。
そこで、いよいよ日本でも、働き方改革によって、大企業については2020年4月から、中小企業についても2021年4月から「同一労働・同一賃金」が適用されることになりました。(但し、罰則規定はありません。)
中小企業の経営者であるあなたとしては、人件費は安い方が望ましいというのが本音だと思いますが、日本の生産年齢人口(15歳以上65歳未満の人口)が年々減少しているという状況を考慮すれば、景気動向などによって一時的に買い手市場になる場合があったとしても、長期的な傾向としては売り手市場の状態が続くはずです。
そうだとすれば、(移民政策を本格的に導入したりしない限りは……)人件費がジリジリと上昇していくことは避けようがなく、これまでのような「いかにして人件費を低く抑えるのか?」という費用面に着目した発想だけでは、企業が生き残っていくことは難しくなります。
そのため、今後は上昇する賃金をカバーできるだけの売上を確保しなければならなくなるでしょうから、「いかにして生産性を高めていくのか?」といったように収益面にも着目した発想に転換していくことが求められるはずです。
そして、生産性を高めていくためには、従業員のやる気を引き出せるようにしなければならないはずですから、その前提として、同じ仕事をしている正規労働者と非正規労働者との間で無視できないレベルの格差があるという状態は早急に改善する必要があるでしょう。
このように考えていくと、「同一労働・同一賃金」というのは、これからの企業経営のあるべき姿を追求するためにも、かなり的を射た政策だといえるのではないでしょうか?
次回は、「企業統治(コーポレートガバナンス)」についてお話ししたいと思います。
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