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このブログ記事は、2020年8月22日に改題・更新しました。
今回は、望ましい経営相談のあり方について考えてみたいと思います。
定期的に経営相談をしている経営者は……
中小企業の経営者であるあなたは、誰かに定期的に経営相談をしているでしょうか?
少し古い情報ですが、2012年版『中小企業白書』の第3部第2章第1節の第3-2-3図を見てみると、6割以上の中小企業の経営者が定期的に経営相談をしておらず、又、同書の第3-2-4図を見てみると、定期的に経営相談をしていないという回答は、従業員数が少ない中小企業ほど、つまり、零細な中小企業ほど多い*1という傾向が示されています。
*1例えば、従業員数300人以上の中小企業は、定期的に経営相談していると回答している割合が83.6%もあるのに対し、従業員数0人~4人の中小企業は、定期的に経営相談していると回答している割合は15.6%しかありません。
そのため、(あなたが定期的に経営相談をしているのかは分かりませんが……)これらのデータを見る限り、中小企業においては、定期的に経営相談をしている経営者は少数派であると判断できます。
ちなみに、これらのデータから、零細な中小企業の経営者はワンマンであるから経営相談は不要と考えている!という解釈もできますが、一方で、零細な中小企業の経営者は経営相談をする相手もおらず孤独な状況に置かれている!という解釈も可能です。
経営相談を意味あるものにするためには……
定期的に経営相談を受けることについて、2012年版『中小企業白書』の第3部第2章第1節の第3-2-5図を見てみると、直近 5年間の利益の傾向は、定期的に経営相談をしている中小企業の方が増益傾向*2にあり、経営相談を受けることの効果が明確に示された形になっています。
*2経営相談をしている:大幅な増益傾向0.3%、増益傾向13.0%、横ばい33.5%、減益傾向41.5%、大幅な減益傾向11.7%
経営相談をしていない:大幅な増益傾向0.1%、増益傾向7.5%、横ばい28.1%、減益傾向45.3%、大幅な減益傾向18.9%
しかし、経営相談によって得られた助言の有効性に対する企業側の回答を見てみると、従業員数が少ない中小企業ほど、つまり、零細な中小企業ほど役に立っていると回答する割合が少なくなる*3ので、企業規模が経営相談の効果に大きな影響を与えていることは否定できません。
*3例えば、役に立っていると回答した割合が、従業員数300人以上の中小企業では95.5%もあるのに対し、従業員数0人~4人の中小企業では57.8%に止まっています。
ただ、これに関しては、定期的に経営相談を受けている専門家が提供できる助言内容と零細な中小企業が求めている助言内容との間でミスマッチが生じていることが原因だと考えられます。
実際、2012年版『中小企業白書』の第3-2-4図に示されている相談相手を見てみると、相談相手の7割近くが顧問税理士や会計士であると回答していることから、相手が何の専門家なのかを考慮するよりも、日頃からどれくらい接しているかを基準に相談相手を決めている可能性の方が高いです。
そうだとすると、なるべく日頃から接している専門家に経営相談をしたいと思ってしまう経営者の気持ちは十分に理解できますが、それでも、適切なアドバイスを受けたいのであれば、まずは相談相手が何の専門家であるのかぐらいは知っておく必要があるのではないでしょうか?
次回は、「人口減少によって生まれる未来」についてお話ししたいと思います。
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