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このブログ記事は、2020年8月23日に改題・更新しました。
今回は、「フリー戦略」について解説してみたいと思います。
フリー戦略にはどのようなものがあるのか?
尚、『フリー<無料>からお金を生みだす新戦略』(クリス・アンダーソン著、小林弘人監修、高橋則明訳、NHK出版)によると、フリー戦略はそれぞれ
1. 直接的内部相互補助
同じ消費者に対して、無料の商品・サービスと有料の商品・サービスを組み合わせて販売する方法のことです。例えば、飲食店などで行われている、単品ではなくセットメニューを注文すれば、ドリンクが無料になるようなサービスがこれに該当します。
2. 三者間市場
消費者とは別の第三者に料金を負担してもらい、商品・サービスを消費者に無料で提供する方法のことです。例えば、無料で視聴できるTV放送では、視聴者の代わりにスポンサー企業が費用を負担していますが、スポンサー企業はTV番組中にCMを流すことで、視聴者に対して自社の商品・サービスの購入を促しています。
3. フリーミアム
無料の商品・サービスと有料の商品・サービスをそれぞれ用意し、一部の消費者が負担する有料の商品・サービスの料金によって、多数の消費者が利用する無料の商品・サービスの費用も賄ってしまう方法のことです。例えば、EvernoteやDropboxなどのサービスがこれに該当します。
4. 非貨幣市場
商品・サービスを消費者に提供し、代わりに金銭以外の評判や称賛などの見返りを得る方法のことです。例えば、広告や有料版の販促活動などを伴わないフリーソフトやフリーウェアを開発・配布する行為がこれに該当します。
という4つに分類できると説明しています。
個人的には、1.の直接的内部相互補助と3.のフリーミアムを混同している人はとても多いと感じているので、分類の仕方としてはよく出来ていると思います。
実際には誰かが料金を支払わなければ……
フリー戦略に即したビジネスモデルを考える際に注意しなければならないのは、4.非貨幣市場に該当するものを除き、実際には、誰かが料金を負担しなければ、それらはビジネスとして成立しないという点です。
例えば、1. 直接的内部相互補助の場合であれば消費を行う消費者自身が、2. 三者間市場の場合であればスポンサー企業が、3.フリーミアムの場合であれば有料会員が、それぞれ料金を負担しています。
そのため、フリー戦略に即したビジネスモデルを考えることは、通常の有料を前提にしたビジネスモデルを考えるよりも、巧みな料金回収の仕組みを考える必要がある分だけ難易度は高くなります。
それなのに、安易な考えでフリー戦略に手を出せば、たとえ取引量を増やせたとしても、事業を継続していくのに必要な収入を得ることができず、最終的には帳尻が合わなくなって失敗する危険があります。
「只(ただ)より“難しい”ものはない」ということですね……
次回は、「同一労働・同一賃金」についてお話ししたいと思います。
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