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このブログ記事は、2018年7月15日に改題・更新しました。
今回は、減価償却の計算要素について考えてみたいと思います。
正規の減価償却?
実は、「定額法」や「定率法」などの現行の減価償却方法は、本来行うべき減価償却方法を実施することが実務上困難なために、代わりに採用されている方法に過ぎません。
ちなみに、本来行うべき減価償却方法というのは、対象となる固定資産の価値の減少を客観的に見積もって計上する方法のことですが、一部の例外を除いて、固定資産の価値がどれくらい減少しているのかを物量的に測定することはほぼ不可能に近いため、誰もが納得するような客観的な金額を見積もることができません。
そこで、“時の経過に応じて価値が均等に減少していく”とか、“時の経過に応じて価値が逓減的に減少していく”といった仮定をして、固定資産の取得原価を計画的・規則的に各期間の損益計算に反映させる手続きを代わりに行うことが認められるようになりました。
尚、これを会計の専門用語で「正規の減価償却」と呼びます。
減価償却の計算要素とは?
「正規の減価償却」の計算を行うためには、必要なものが3つあります。
それが、「取得原価」「残存価格」「耐用年数」の3要素です。
まず、取得原価というのは、固定資産の取得に要した原価のことですが、これは単純に購入に要した支出額を意味するものではありません。取得の形態によって、取得原価の内容は以下のように変わってきます。
- 購入により取得した場合:購入代金+付随費用-値引き・割戻し
- 自ら建設して取得した場合:適正な原価計算基準に従って製造原価を計算し、これに基づいて取得原価を計算
- 現物出資により取得した場合:出資者に対して交付された株式の発行価額
- 自己所有の固定資産と交換に(同種の)固定資産を取得した場合:交換に供された自己資産の適正な簿価
- 自己所有の株式ないし社債等と交換に固定資産を取得した場合:当該有価証券の時価又は適正な簿価
- 贈与により取得した場合:時価等を基準として公正に評価した額
次に、残存価格というのは、固定資産の耐用年数の到来時において予想される売却価格のことです。
最後に、耐用年数というのは、固定資産の予想される利用期間のことですが、「経済的耐用年数」と「法的耐用年数」があります。
経済的耐用年数は、物理的減価要因や機能的減価要因などをそれぞれの固定資産ごとに勘案して求められる耐用年数であるため、同じ種類の固定資産であっても、固定資産の置かれている状況などによってそれぞれ異なることになります。
一方、法定耐用年数は、国税庁が定めているものであって、それぞれの固定資産の種類ごとに耐用年数が一律に決められているため、同じ種類の固定資産であれば、たとえ固定資産の置かれている状況などが全く違っていても同じ耐用年数となります。
尚、会計上は経済的耐用年数を使用するのが正しいのですが、税務上は法定耐用年数を使用しなければなりません。
但し、会計と税務で使っている耐用年数が違っていても、税務申告書上で調整すれば特に問題はありません。(税理士さんが面倒くせー!と文句をいうくらいでしょうか?)
次回は、「定額法」と「定率法」について解説したいと思います。
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