部門別管理や予算管理だけが管理会計の役割ではない……(管理会計のワナ!その1)

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このブログ記事は、2018年9月8日に改題・更新しました。

今回は、「管理会計の本質」について解説してみたいと思います。

管理会計のイメージは?

中小企業の経営者であるあなたは、「管理会計」と聞くと、どのようなものをイメージするでしょうか?

「部門別管理や予算管理といったような何かしら管理に役立つものだろう……」というあなたの心の声が聞こえてきそうですが、管理会計を英語でいうと「Management  Accounting」あるいは「Managerial  Accounting」になりますから、どちらかと言えば、「経営会計」とか「経営者会計」といった感じで訳されるべきものであり、経営に役立てるためのものだとイメージするのが正しいでしょう。

本来なら「経営会計」とか「経営者会計」といった感じで訳されるべきものなのに……

もちろん、ManagementやManagerialには管理という意味もあるので、管理会計というのが全くの誤訳であるというわけではありませんが、それでも、本当の管理会計の使われ方を考えれば、管理に役立てられるというのは、ごく一部の役割を表しているに過ぎません。

それに、管理会計の最も大きな役割は経営判断に資する情報を提供することですから、大企業であれば(権限を大幅に委譲されている管理者もいるので)管理者のための会計という側面も一部ありますが、中小企業の場合であれば経営者のための会計というのが最もピッタリとくるはずです。

管理会計が他の会計と違うのは……

管理会計が他の会計と比べて大きく異なるのは、管理会計にはあらかじめ定められたルールのようなものが存在しないという点です。

それは、管理会計の最も大きな役割が経営判断に資する情報を提供することであることからも当然だといえます。

管理会計にはあらかじめ定められたルールのようなものが存在しない……

なぜなら、それぞれの企業の置かれている状況は千差万別であり、それぞれ正解とされる判断の仕方も変わってくるのが当然ですから、決算書作成のルールや税金計算のルールのように、あらかじめ“判断の基準”とすべきものを用意することが難しいからです。

そのため、管理会計の場合には、それぞれの状況に応じて、その場で最適な判断の基準を見つけ出せるのかが重要になってきます。

例えば、コップの中に水が半分入っているとします。

水が満杯の状態と比較するのであれば、コップの水は“半分しかない!”と判断することになりますが、水が無い状態と比較するのであれば、コップの水は“半分もある!”と判断することになります。

このように、全く同じものであっても、判断の基準が変われば結論も180度変わります。

しかし、水が満杯の状態と比較するのが正しいのか、それとも、水が無い状態と比較するのが正しいのかは、その時々の状況によって変わってくるので、その場でしっかりと考えるしかありません。

事前にルールを知識として知っておけばなんとかなる他の会計とは、そもそも事情が大きく異なるのです。

判断の基準が変われば、結論も大きく変わってくる!

ですから、“使えない管理会計”というのは、理屈の上ではありえません。(使えるようにカスタマイズされたものが管理会計なのですから……)

もし、あなたが管理会計に対して「使えない」と思っているのだとしたら、それは管理会計を装ったニセモノを使っているからなのかもしれません……

次回は、「CVP分析」についてお話ししたいと思います。

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