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このブログ記事は、2020年1月5日に改題・更新しました。
今回は、「従業員をどう捉えるのか?」について考えてみたいと思います。
どちらにもそれなりに根拠はあるが……
中小企業の経営者であるあなたは、雇っている従業員を資産だと考えているでしょうか?それとも、コストだと考えているでしょうか?
従業員が「ヒト・モノ・カネ・情報」という経営資源のヒトに該当することや、同じく経営資源の一つである情報を活用するためにはヒトを介する必要がある(将来はAIに取って代わられるかもしれませんが……)こと等を重視するならば、従業員は資産であるという考え方がそれなりに説得力を持つことになります。
一方で、決算書上、従業員への給与の支払いが費用として計上されることはあっても、従業員が資産として計上されることはないので、従業員はコストであると考えることもできるでしょう。(厳密には、製造原価に含められている人件費が仕掛品や製品という形で資産計上されていると考えることはできるのですが……)
つまり、従業員を資産だと考えることも、従業員をコストだと考えることも、どちらにもそれなりに根拠はあるので、経営者の気持ち一つで、従業員を資産と考えることも、従業員をコストと考えることも可能だということです。
ただ、「成果主義」が注目されるようになる前の日本では、どちらかというと、従業員を資産と考える方が多数派だったような気がしますが、現在の日本では、どちらかというと、従業員をコストと考える方が多数派のような気がします。
2つの考え方の行き着くところは?
従業員を資産と考えるのか?それとも、従業員をコストと考えるのか?という考え方の違いは、結局のところ、中長期的な視点から企業経営を行うべきなのか?それとも、短期的な視点から企業経営を行うべきなのか?という企業経営に対する根本的な経営観の違いに行き着きます。
例えば、従業員の能力が将来に渡って向上するなら、それだけ企業にもたらす利益は増えていくはずですから、多少のコストを負担してでも従業員を大事にしていくという施策は、中長期的な視点から企業経営を行う場合には合理的だといえます。
しかし、短期的な視点から企業経営を行っているのなら、現在の従業員の能力に応じて給与額を決める(しかも、できるだけ支出額を少なくする)ことが合理的ということになるでしょう。
中小企業の場合には、経営者が大株主であることがほとんどなので、個人的には、従業員を資産だと考える方が望ましいとは思っていますが、だからといって、短期的な視点を全く無視することもできない(特に赤字経営の場合には……)でしょうから、いくらかは、従業員をコストだと考えることも必要だと思います。
「従業員を資産だと考えるのか?それとも、コストだと考えるのか?」
単純な質問のように聞こえますが、あなたの企業経営に対する根本的な経営観が問われています……
次回は、「分業のあるべき姿」について解説したいと思います。
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