せっかく、「不正」や「誤謬」という用語があるのに……

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このブログ記事は、2020年1月18日に改題・更新しました。

今回は、「不正」や「誤謬」について解説したいと思います。

不正とは何か?誤謬とは何か?

近頃は、「不適切会計」や「不正会計」という用語を目にすることが多くなりましたが、そもそも会計の世界では、これらの代わりに「不正」や「誤謬」という用語が使われていました。

昔は「不正」や「誤謬」という用語が使われていたのだが……

尚、「不正とは、財務諸表の意図的な虚偽の表示であって、不当又は違法な利益を得るために他者を欺く行為を含み、経営者、取締役等、監査役等、従業員又は第三者による意図的な行為」(出典:日本公認会計士協会ホームページ会計監査用語解説集より)であって、「誤謬とは、財務諸表の意図的でない虚偽の表示であって、金額又は開示の脱漏を含む。」(出典:日本公認会計士協会ホームページ会計監査用語解説集より)とされています。

不正と誤謬の違いについては、「意図的な誤りなのか?」「意図的でない誤りなのか?」という点に目が行きがちですが、誤謬が意図的でない誤りそのものを指すのに対して、不正は意図的な誤りの背後に潜んでいる行為も含んでいる点で、両者は大きく異なります。

更に、粉飾(粉飾決算)をしても、そのうちバレますよ!で紹介した「粉飾(粉飾決算)」との関係を説明すると、不正の一部が粉飾(粉飾決算)にも該当するという関係になります。

なぜなら、横領(資産の流用)などの行為を行った場合、そのままでは発見されてしまう危険性が高いため、それらがバレないように、決算書の内容を偽装してしまうことが多いからです。

故に、決算書上できちんと処理していれば、実態よりも良く見せるということには当たらないため、そのような場合には、粉飾(粉飾決算)には該当しないことになります。

不正と粉飾(粉飾決算)の関係

不適切会計とは何か?不正会計とは何か?

ちなみに、不適切会計とは「不適切な会計処理」を略した用語のことであり、「意図的であるか否かにかかわらず、財務諸表作成時に入手可能な情報を使用しなかったことによる、又はこれを誤用したことによる誤り」(出典:監査・保証実務委員会研究報告第25号『不適切な会計処理が発覚した場合の監査人の留意事項について』平成24年3月22日 日本公認会計士協会より)と定義されています。

そのため、誤りという点で先ほど紹介した不正と誤謬の両方の概念を含みつつも、意図的かどうかまでは判断できないものである……という位置づけだと解釈できます。

又、不正会計については、新聞等の報道ではよく使われていますが、先ほど紹介した不正とほぼ同じ意味で使われており、一般的に使われている不正の意味が「正しくないこと。正当でないこと。また、そのさま。」(出典:大辞林 第三版)と広く解釈されているために、会計という用語を付け加えることでその範囲を限定しているのだと解釈できます。

尚、日本公認会計士協会は「会計不正(Accounting fraud)」という表現をしており、主に「粉飾決算」と「資産の流用」から成るとしています。(つまり、会計上の不正と同じ意味だということです。)

いろんな用語を使っているけれど本当に必要なの?

次回は、「実地棚卸」についてお話ししたいと思います。

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