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このブログ記事は、2020年1月26日に改題・更新しました。
今回は、課税対象の範囲(課税ベース)について解説したいと思います。
課税対象の範囲(課税ベース)は「所得」だけではない!
中小企業の経営者であるあなたは、「赤字なら税金の支払いは生じない」と単純に思い込んではいないでしょうか?
確かに、課税所得が赤字の状態なら、法人税の支払いや所得税の支払いは基本的には生じませんが、課税対象の範囲(課税ベース)は何も「所得」だけに限定されているわけではありませんから、赤字であっても税金の支払いが生じることはあります。
例えば、消費税は「消費」を課税対象の範囲(課税ベース)にしていますから、所得とは関係なく課税されることになります。
但し、消費税については、税務申告や納税は事業活動を行っている法人や個人事業者*が行っていますが、法律上、税金を負担するのは消費者なので、法人や個人事業者は消費者から預かっている税金を国や地方自治体へ納付しているだけです。
*個人事業主という用語の方が一般的に使用されていますが、消費税法第2条第1項第3号で事業を行う個人を個人事業者と定義していますので、私のブログ記事では個人事業者という用語で統一しています。
他にも、固定資産税などは「資産」を課税対象の範囲(課税ベース)にしていますから、こちらも所得とは関係なく課税されることになります。
更には、法人事業税における外形標準課税のように、基本的に「所得」を課税対象の範囲(課税ベース)にしつつも、それ以外のものにも課税対象の範囲(課税ベース)を広げている税金もあります。
当然、これらについては、たとえ所得が赤字であっても課税されることになります。
法人税の税率は段々と下がってきているが……
課税対象の範囲(課税ベース)を考える際には、上述したような“課税対象の広さ”だけでなく、“課税対象の広げ方”についても押さえておく必要があります。(というか、賢く節税するという観点からは、こちらを押さえておくことの方がずっと重要です!)
例えば、あなたもご存知のように、法人税の税率は段々と下がってきていますが、ただ税率を引き下げるだけだと国の税収が減ってしまいますから、一方では下記のような税収を確保するための税制改正も行われています。
- 金融事業者や中小法人以外の貸倒引当金の計上の禁止
- 繰越欠損金の利用可能額の制限(中小法人等を除く)
- 法人事業税における外形標準課税の付加価値割及び資本割の割合拡大
- 建物附属設備や構築物の償却方法を定額法に限定すること 等
これらの内、中小企業にも影響があるのは、建物附属設備や構築物の償却方法を定額法に限定することぐらいですが、これは担税力(税金を支払う能力のこと)の有無を資本金や出資金の大きさだけで形式的に決めているからです。
けれども、将来において、税収の確保が難しくなってくれば、中小企業に対しても課税対象の範囲(課税ベース)を広げてくる可能性は十分にあります。
「中小企業だから大丈夫だろう」と高を括っていられなくなる日は意外と近いかもしれません……
次回は、消費税の軽減税率についてお話ししたいと思います。
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