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このブログ記事は、2017年8月24日に改題・更新しました。
今回は、設備投資をすることによって、人件費を減らせるのか?ということについてお話ししたいと思います。
設備投資をすれば人件費は削減できる?
中小企業の経営者であるあなたもご存じのように、設備投資をする目的の一つに、生産性を向上させることがあります。
生産性は、「生産性=算出÷投入」の式で求められますから、生産性を向上させる設備投資には、算出される製品やサービスの付加価値を高めるための設備投資と、製品やサービスを効率よく生産するための設備投資の二つのタイプが考えられます。
この内、製品やサービスを効率よく生産するための設備投資の場合、作業をする人員を減らすことに繋がるものがあります。
例えば、機械を導入することによって作業を自動化するといったような設備投資であれば、その作業に携わっていた人員を減らすことが可能になるでしょう。
そこで、経営者であるあなたに質問です。
設備投資をして作業をする人員を減らすことができれば、それによって、人件費を削減することはできるのでしょうか?
人件費を削減するためには……
確かに、自動化された部門だけを見れば、(全社的には何も変わりませんが……)その部門の人件費は削減することが可能ですし、設備投資によって生産性が向上するので、単位当たりの人件費も減少するはずです。
又、自動化された作業について、それまで高額の残業代を支払っていたなどの事情があるのであれば、残業がなくなった分については人件費を削減できるでしょう。
けれども、不要になった人員の人件費を根本的に削減するには、不要になった人員を退職させる必要があります。
現在ではパートや派遣などの非正規雇用の労働者も多くなったので、昔ほどではないのでしょうが、それでも、社内に残された者のモチベーションが低下することなどを考えると、設備投資によって不要になった人員をすぐに退職させるようなことは難しいはずです。(円満に退職してもらうための理由や方法を別に見つけ出さねばなりません!)
それに、導入される設備によっては、機械にプログラムを打ち込むなどの専門の人材が必要になったりするので、人員を削減するどころか、逆に、人員を増加させなければならない場合も考えられます。
このように、よく考えてみると、設備投資により作業をする人員を減らせることと、設備投資により人件費を削減できることとは必ずしもイコールではないということが分かります。
そのため、設備投資をして作業をする人員を減らすことができても、不要になった人員を直ちに退職させることが難しいので、短期的には人件費を削減することは非常に難しいという結論になります。
ただ、これからの時代は、どれくらい人件費を削減できるかどうかで心配するよりも、必要な人員をちゃんと補充できるかどうかで心配することの方がずっと多くはなるでしょうが……
次回は、設備投資が過大になる理由について解説します。
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