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このブログ記事は、2017年8月24日に改題・更新しました。
今回は、金利の高低によって、設備投資をするかどうかを判断することの是非についてお話ししたいと思います。
金利が下がれば、投資は増加する……
日銀が金融緩和政策を継続していることもあって、低金利状態が続いています。
もしかしたら、中小企業の経営者であるあなたも、「どうせ金利も安いことだし、ウチも銀行から借入れして、そろそろ設備投資をするべきじゃないだろうか?」などと悩んでいるかもしれません。
でも、金利の高低によって、設備投資をするかどうかを決定するというのは、本当に正しいことなのでしょうか?
確かに、ケインズ経済学によれば、市場利子率(金利のこと)が下がれば、投資は増加する関係にあると説明されます。
例えば、市場の金利が2.0%で統一されていると仮定した場合に、年間利回りが2.5%のA投資案と、年間利回りが1.5%のB投資案があったとするならば、A投資案は採択されます(年間利回りが2.5%なので、2.0%の金利負担を考慮しても、A投資案に投資した方が得をします!)が、B投資案は採択されません。(年間利回りが1.5%なので、2.0%の金利負担を考慮すると、B投資案に投資すると損をします!)
けれども、金利が1.0%に下がったとしたならば、A投資案だけでなく、B投資案も採択されることになります。
つまり、金利が下がれば、投資はそれだけ増加するという関係が成立するのです。
金利が下がれば、設備投資をしてもいいのか?
上述のように説明されると、金利の高低を、設備投資をするかどうかの判断基準にすることは、一見、合理的であるようにも思えます。
けれども、設備投資をするための資金調達方法は、銀行からの借入れに限定されません。
新株発行や内部留保といった別の方法により、資金調達をするならば、金利の高低によって、設備投資をするかどうかの判断をするのは問題があるでしょう。
そのため、実際には、「設備投資をするかどうかを判断するための基準とはどのようなものなのか?」を別途考える必要があります。(これについては、「資本コスト」というものを使って判断することになります!)
そして、ケインズ経済学というのはマクロ経済、つまり、一国全体を分析対象にするものですから、市場の金利を超える年間利回りの投資案が存在していることを仮定して説明したとしてもおかしくはありませんが、一企業に限定して考えてみた場合には、市場の金利を超える年間利回りの投資案が必ず存在するとは限りません。
つまり、金利の高低について考えるよりも、「高い利回りの設備投資案が存在するのかどうか?」を先に検討する必要があるということになります。
このように、現実に即して考えてみると、金利の高低を、設備投資をするかどうかの判断基準にすることは、残念ながら問題があるということになります。
次回は、高い成長が見込めなくなった時代の設備投資のあり方について解説します。
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