ドミナント戦略は正しいのか?

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このブログ記事は、2021年4月5日に改題・更新しました。

今回は、「ドミナント戦略」について解説してみたいと思います。

ドミナント戦略とは何か?

セブンイレブンが2019年に沖縄県へ出店し、47都道府県への出店を達成しました。

(ちなみに、私の事務所がある愛媛県にセブンイレブンが出店したのは2014年ですから、その5年後に47都道府県への出店を達成したということになりますね!)

47都道府県への出店を達成!

けれども、ライバルであるローソンが1997年に、次いでファミリーマートが2006年にそれぞれ47都道府県への出店を達成していますから、セブンイレブンが47都道府県への出店を達成するにはかなりの時間がかかっていることになります。

このように、セブンイレブンが47都道府県への出店に時間がかかったのは、セブンイレブンが「ドミナント戦略」を採用しているからだと言われています。

尚、ドミナント戦略とは、特定の地域に集中して出店することで、その地域のシェアを奪って競争を優位にしようとする戦略のことです。

ドミナント戦略のメリット・デメリット

『セブン-イレブン創業の奇蹟』(緒方知行著、講談社)や『鈴木敏文 商売の創造』(緒方知行著、講談社)を読むと、セブンイレブンがドミナント戦略にこだわっているのは、次のようなメリットがあるからだと説明しています。

・地域の住民に認知されやすい

特定の地域に集中して出店すれば、出店した地域の住民の目に留まりやすくなるので、その分だけ広告宣伝費を下げることができます。

・配送を効率化することができる

特定の地域に集中して出店すれば、店舗までの配送距離が短くなるので、その分だけ配送コストを下げることができ、又、配送時間も安定します。

競合他社が参入しにくいというメリットもあります!

けれども、既存の店舗オーナーの立場から見ると、セブンイレブンのドミナント戦略にはカニバリゼーション(共食い)を起こしやすいというデメリットがあります。

この点について、『セブン-イレブン創業の奇蹟』(緒方知行著、講談社)や『鈴木敏文 商売の創造』(緒方知行著、講談社)では、そのような問題があることは認識しつつも、先ほど述べたメリットの方がずっと大きいことを強調しています。

確かに、今後も十分な成長が見込めるのであれば、そのような説明にも説得力があるのですが、47都道府県への出店を達成し、人口減少も進んでいる現在の状況を考えると、さすがに小首を傾げざるを得ません。

特に問題なのは、既存ブランドと新規ブランドの間で生じるカニバリゼーション(共食い)の場合と違い、既存の店舗と新規の店舗の間で生じるカニバリゼーション(共食い)の場合には、どの店舗で売れようがセブンイレブン本部には大きな不利益とならないため、本気で問題解決に取り組まない危険があることです。

実際、同じような対立の構造になっている24時間営業の見直しを巡る問題でも、公正取引委員会が問題解決に乗り出してくるまでは、セブンイレブン本部はこの問題に対して消極的な態度でした。(現在も積極的な態度とは言えないのかもしれませんが……)

そのため、ドミナント戦略によって生じる不利益を今のまま既存の店舗オーナーに押し付けているだけでは、両者の軋轢が増すばかりで根本的な解決には繋がらず、新たな問題に発展していく可能性すらあります。

現在のドミナント戦略を今後も続けていくことができるのか?

そろそろ本気で考え直す時期が来ているようです……

今のやり方ではこれ以上の成長は期待できない?

次回は、「インテグラル型製品」や「モジュラー型製品」についてお話ししたいと思います。

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