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このブログ記事は、2017年6月10日に改題・更新しました。
今回は、キャッシュフロー情報だけを重視することの危険性についてお話ししてみたいと思います。
キャッシュフロー情報だけを重視する場合には危険性がないのか?
キャッシュフロー経営に関する書籍を読むと、利益情報だけを重視する場合の危険性に関する記述(黒字倒産など)はよく目にしますが、キャッシュフロー情報だけを重視する場合の危険性に関する記述については目にすることがありません。
しかし、これは、利益情報だけを重視する場合と違って、キャッシュフロー情報だけを重視する場合には危険性がないことを意味するのでしょうか?
設例を使って考えてみよう!
例えば、売上に伴う入金が先に生じており、仕入や経費の代金はその後に支払っているような場合を考えてみてください。
このような場合、キャッシュフロー情報だけしか見ていないとすると、損益計算をすればほとんど利益が生じていないか、又は、わずかな赤字であるような場合であっても、常に販売が増加傾向にあるなら、「儲かっている!」という誤った判断をしてしまいます。
なぜなら、キャッシュ・インも、そのためのキャッシュ・アウトも、共に増加している中で、キャッシュ・インがキャッシュ・アウトよりも常に先行するため、キャッシュ・インの額がキャッシュ・アウトの額を上回り続けるからです。
それなのに、増え続けるキャッシュを見て「もっと儲けてやろう!」と思い、事業規模を拡大するために、借入れまでして設備投資を行ったらどうなるでしょうか?
設備投資後も、販売が順調に増加し続けるのならば、あまり問題は表面化しませんが、もしも、販売の増加が止まったりすれば、それを境に、今度はキャッシュ・アウトの額がキャッシュ・インの額を上回ることになり、今まで隠れていた問題が一気に噴出します。
その時になって、慌てて対策をしようとしても、おそらく簡単に対策は立てられません。
利益が出ない取引であると分かっていても、借入金の返済資金を稼ぐために、値下げをしてでも販売を続けるしかないかもしれません。
そして、何の対策もできなければ、最後には、ずっと資金繰りに追われることになります。
このように、キャッシュフロー情報だけでは、会社の正確な儲けを把握するタイミングが遅くなり、経営判断を誤ってしまう恐れがあります。
当たり前のことですが、利益情報についても、同じように重視することが必要なのです。
次回は、利益計算による儲けと、キャッシュフロー経営による儲けの違いについて解説してみたいと思います。
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